今日はオヤジが花見に行くと言い出した。 珍しい。 非常に珍しい。 オレを虐めることだけが楽しみの変態だとばかり思っていたが、少しはマシな部分もあるらしい。 オヤジは酒ならなんでも飲むタイプだ。 それでも今日用意してきたヤツはかなり強い酒みたいだった。 口に含むと同時にアルコールが飛んでいく、その感覚がたまらなく楽しい。 それに匂いだ。 普通の酒とはまるで違う、なんだか頭の芯をぼーっとさせる不思議な匂いがするんだ。 モノ心ついた時から酒を飲んでいるオレでも、その強烈な衝撃にカっと身体が熱くなる
景色を見、酒を飲み、また景色を眺める。 夜桜を楽しむにはまだ少し早かったけれど、強い酒のおかげで少しも寒くは無かった。 まさかそこまで考えて選んだ訳ではないのだろうが、迂闊にもほんの極小だけオヤジに感心してしまう。 それは、もちろんオレの間違いだった。 ほんと迂闊だった。
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