パニック小説
もしくは、Doomsday Novel


動物・生物災害物
アンドロメダ病原体
THE ANDROMEDA STRAIN
 マイケル・クライトン
  早川書房
パニック小説史上白眉の作品と言ってもよかろうと思う。映画化もされたし、映画を観た人も多いと思う。
専門用語等を敢えて駆使し、それでいて、ちゃんと読ませる筆致は流石クライトンである。先日急死してしまったのが大変残念だ。
この作品は本当に非常に面白いので、読み継がれるべき作品ですね。
内容はとある米国の小さな町で住民が全滅するという事件が起きるところから始まる。調査隊が降り立って見ると・・・・
町は突然訪れた死に満ち満ちていた! 原因はまったく不明・・・血液が砂の様に凝固していたのダ!
そして、奇跡的に救出されたふたりの生存者・・・ひとりはアル中の老人・・・もうひとりは赤ん坊・・・・全く共通点の無い二人の
生存者に科学者チームは困惑を隠し切れないのだった・・・・いったい何が人々の命を奪ったのか?!
それが解明された時、地球の命運にすら関係する大事件に発展する・・・・ハードな筆致、見事なサスペンス!
実に読み応えのある傑作である。また、映画も原作に負けず大変良い出来になっているのでどちらも観賞に値すると言えます。
スウォーム
THE SWARM
 アーサー・ハーツォグ
  早川書房
「アンドロメダ病原体」をお手本にして書いたと作者自らが語っているように、「アンドロメダ〜」と構成が酷似している。
が、しかし、クライトンの作品には無かった登場人物の細かな描写や、こちらは宇宙細菌では無く、アフリカバチが襲ってくるという
点でよりリアルな恐怖を感じる事ができると思う。 実際アフリカバチに人が襲われる冒頭から、専門家達がチームを組んで対処に
中る展開まで「アンドロメダ〜」を踏襲していながら更にドラマチックな展開になっており、本当の話、「アンドロメダ〜」よりも
かなり優れた作品になっている。登場人物の魅力もこちらの方が上で、ラストの展開もこちらの方がより面白く出来ている。
あまり知られていないが、是非読んでおきたい1冊ですね。
ちなみにアーウィン・アレンによって映画化された同名作は原作の素晴らしさを全く理解していないダメな作品になってしまって
いました・・・(^-^Λ;
オルカ
ORCA
 アーサー・ハーツォグ
  
KKベストセラーズ
これをパニック小説と呼ぶのにはいささか難しいものがあるのだが、作者が「スウォーム」のハーツォグなので、一応ここに分類
させて戴きました。これもまた映画化されたので御覧になった人も居ると思う。リチャード・ハリスが名演でしたが・・・
原作はもっと面白い。ラストも映画と原作では全然違うので、合わせて御覧になって戴きたい。
このハーツォグの筆力は全く素晴らしく、もっとどんどん色々書いて欲しかったのだが、邦訳されたのはわすがに3冊だけである
のが大変残念である。
ジョーズ
JAWS
 ピーター・ベンチリー
  早川書房
スピルバーグ監督の大出世作としてまず観た事の無い人は殆ど居ないんじゃなかろうかと、言う位有名な作品の原作ですが・・・
実は読んでみるとかなり違うのに気づく筈だ・・・実際映画の方は、前作「激突!」を観た方なら分かるでしょうが、映画「ジョーズ」
はテレビ映画「激突!」の焼き直しに近い作品である。手法や人物描写においても「激突!」の頃よりより洗練されており
誰が見ても文句の無い素晴らしい作品になった。
ところで、原作だけど・・・実は原作は・・・かなりメルヴィルの「白鯨」に似ている。特にラストなどはソックリと言っても過言では無い。
ベンチリーはサメをテーマにしながら「白鯨」を焼きなおしたとも考えられる。つまり、映画も原作も双方なんとなく焼き直しに
近いのダ! が、しかし、だからと言って双方の作品の価値が下がるものでは無い。どちらも観て楽しく、読んで楽しめる作品に
仕上がっている。
ジョーズ2
JAWS2
 ハンク・サールズ
  サンリオ
これは映画「ジョーズ」のヒットにあやかって作られた続編「ジョーズ2」のノヴェライズ作品である。
映画ははっきり言って微妙な出来なのだが、小説はそこそこ面白く読めるので機会があれば一読されるのも一興。
まあ、ベンチリーの「ジョーズ」に比べれば深みが全く無いがノヴェライズにそこまで求めるのは酷であろう・・・
最も「ミクロの決死圏」の様に映画、ノヴェライズ双方素晴らしい出来の作品も有るのだから、ノヴェライズの作者にはもっと
頑張ってもらいたいというのは・・・ホンネ(^o^)
ビースト
BEAST
 ピーター・ベンチリー
  角川書店
「ジョーズ」のベンチリーがジョーズの夢再びとばかりに久々に出した海洋生物パニックものである。
なんと今回はイカだ! しかもあのダイオウイカだ! イカなんてなんだよ恐くないぜと言うなかれ、イカの力はとてつも無いのダ!
仲々面白く読めたが、「ジョーズ」に比べるとかなりこじんまりとしてしまい、ページ数も少なく、なんだかこれから・・・という時に
終ってしまった感は無きにしもあらず・・・・ただ、やっぱり生物パニックものは読んでて楽しいよね(^o^)
ちなみにテレビ映画化されたが、出来は酷かった・・・・但し! 主役が『CSI: 科学捜査班」のグリッソムことウィリアム・ピータセン
なので彼が好きな人は観てもいいかも・・・・。
ナイトウイング
NIGHT WING
 マーティン・クルーズ・スミス
  早川書房
これはパニック小説なのかよく分からないが、一応読んだ感じでここに分類。
内容は異色の吸血蝙蝠が大挙して人や家畜を襲う・・と言うものである。確かに吸血蝙蝠の唾液には血を止まらなくする作用が
あって噛まれると恐ろしいのだが、しかし、実際死ぬっ程じゃ無い・・・んじゃあ何が恐ろしいのかと言えば、彼等が恐ろしい病原菌
を媒介するからなのだ・・・・蚊にしろなんにしろ吸血するヤツはロクなのがおらんね・・・(^^;;;
しかし、小説としてはかなり面白かった。ネイティブの知識とか色々地味ではあるが一読の価値はある。

THE PACK
 デヴィッド・フィッシャー
  KKベストセラーズ
未読
本屋でずっと見かけては迷っていたのだが、結局購入せず・・・・残念ながら不所持σ( ̄◇ ̄;)
どうも、犬猫は迫力が足りない気が当時はしてて・・・買っておけばよかったと後悔・・・いずれ古書店かネットで購入したい。

THE DOGS
 ロバート・カルダー
  サンケイ出版
未読
本屋でずっと見かけては迷っていたのだが、結局購入せず・・・・残念ながら不所持σ( ̄◇ ̄;)
どうも、犬猫は迫力が足りない気が当時はしてて・・・買っておけばよかったと後悔・・・いずれ古書店かネットで購入したい。

CLAW
 ジャック・ヤンガー
  サンケイ出版
未読
これも、本屋でずっと見かけては迷っていたのだが、結局購入せず・・・・残念ながら不所持σ( ̄◇ ̄;)
どうも、犬猫は迫力が足りない気が当時はしてて・・・買っておけばよかったと後悔・・・いずれ古書店かネットで購入したい。
グリズリー
GRIZZLY
 ウィル・コリンズ
  勁文社
これも映画のノヴェライズである。
しかし、映画は好きな俳優が色々出ていたにも関わらず・・・・「ジョーズ」の二番煎じであったのは隠し様がない事実なのだが
いかんせん、特撮があまりにもオソマツでグリズリーの迫力がサッパリ伝わって来ない。
しかし・・・怪我の功名か・・・小説は読者の脳内で補完されるので、なんとこの作品ノヴェライズにも関わらず、映画より遥かに
面白い! 短いながら大変上手く纏めてあり。ラストの対決も映画よりドキドキして良いし、しかもしんみり感まであるのダ!
やはり上手い人が書けば駄作でも面白いノヴェライズになると言う良い見本の様な作品ですね!
ザ・スネーク
THE SNAKE
 ジョン・ゴーディ
  講談社
これもパニック小説として分類するのはどーかなー? と言う作品ではあるが・・・・
内容は、大都会ニューヨークはセントラルパークに不注意からブラックマンバという猛毒の毒蛇が放たれてしまうという・・・
話だけ聞いてるとパニックものなんだが、作風が、それほどシリアスにならず、ちとブラックなコメディぽい感じもあって
なんとも言い難い・・・まあ読んだ感想としては、それなりに面白かった。
喰い猫
FERAL
 バートン・ルーシェ
  角川書店
猫に襲われてもどこが怖いねん・・・いやそりゃそうである。
と、言うわけで巨大ネコが襲ってくる話でも無く、集団でネコが人を食う話でも無く・・・問題は爪なのだ!
この小説に出て来る人を襲う野良猫達は、爪の間に破傷風菌を持っており、その爪で引っ掻かれるとウィルスにやられてしまう
と・・・と言う怖い話なのである。 これは薄ーーーい本なのであっと言う間に読める。
スラッグス
Slugs
 ショーン・ハトスン
  早川書房
未読
なめくじに襲われる人々・・・気色悪いのう・・・(^^;;; 持っているんだが、仲々読む勇気が・・・・(^-^Λ;
ビールス
THE RINGWAY VIRUS
 ラッセル・フォアマン
  番町書房
未読
ブラック・デス
THE BLACK DEATH
 ギネス・クレイヴンス
 ジョン・S・マー
  ごま書房
未読
レッド・デス
THE RED DEATH
 マックス・マーロウ
  東京創元社 上下巻
太古のナマケモノの氷詰めが発見され、学者達は狂喜するが、そのナマケモノの氷詰めには・・・太古の殺人ウィルスが眠って
いた!謎が多い夫婦作家マックス・マーロウのパニック小説。前記の通り、古代の巨大ナマケモノの死骸に未知のウイルスが
眠っており、それが目覚めて人間に猛威を奮うという物語である。まあ・・・人類存続の危機なワケだが、何故かマーロウは
大災害なテーマを描く割には、それに関わる登場人物や主人公が局地的なので、どうも微妙に狭いというか、大災害という
感じが伝わり難い。どっちかと言うと映像化されたらこんな感じかな・・・という・・・映画やドラマなら一人主人公がいた方がいいし
のう・・・・
メグ
MEGALODON
 スティーヴ・オルテン
  角川書店
なんと・・・いよいよ生物パニック小説に古代サメメガロドンが登場である。
古代の巨大サメメガロドンは当然ジョーズことホオジロザメより遥かにでかくて狂暴だ。設定は実に面白いのだが、どうもメガロドンが
大暴れする描写が少なく、ラストの方になってやっと対決ムードな感じなので、折角の設定が勿体無い感じだ・・・
それなりには面白いので一読されるのはOK。テレビ映画化されたが、こちらはヒドイ駄作だった。
復活の日

 小松左京
  角川書店
映画化もされた小松左京の代表作のひとつだが・・・・映画はキャスティングは良かったものの、オチが笑える微妙な作品になって
しまった。
原作は、まーインフルエンザの脅威を描いたものなんですが、小松左京の文章はいまいちパニック小説としては面白くない。
はっきり言って最後まで読むのには大変な苦労をさせられた。だらだらとした描写が続き退屈なのだ・・・・(~ヘ~;)
描写がもっとシャープで細かく区切って畳み掛けるようだったらテーマは面白いのになあ・・・・